燃料という問い

アヴィニョンで、原子力燃料サイクル全体に関わるフランス企業Oranoの幹部が、自社の事業を「地政学的リスクや重要資源をめぐる競争に対する一種の保険」と表現していました。彼が話していたのはウラン供給についてでしたが、論点は採掘だけにとどまりません。原子炉はすべて、ウランの供給元から、原子炉で使える燃料に加工する施設まで、複数の国にまたがる企業や設備のネットワークに支えられています。

各国が原子力発電の拡大を検討する中で、このネットワークの重要性はさらに高まっています。原子炉が増えれば、ウランや濃縮サービスへの需要も増えます。そして何年か後には、保管、再利用、あるいは処分が必要な使用済み燃料も増えていきます。ウクライナでの戦争や地政学的な緊張の高まりによって、各国政府はエネルギーがどこから来るのか、特定の国にどの程度依存しているのかを、これまで以上に意識するようになっています。

Oranoは、カナダ、カザフスタン、モンゴルなどにウラン供給源を分散させると同時に、濃縮能力にも投資しています。濃縮という言葉はかなり専門的に聞こえますが、基本的な考え方はシンプルです。天然ウランを、多くの商業用原子炉で燃料として使える状態に加工する工程です。原子炉を自国で運転していても、その燃料を準備する施設は何千キロも離れた別の国にあることがあります。

私にとって特に興味深かったのは、話がその燃料を使い終わった後にどうするかへ移った時でした。

フランスは長年にわたり、使用済み核燃料から再利用できる物質を取り出す仕組みを築いてきました。その一部はMOX燃料として利用されます。MOX燃料とは、使用済み燃料から回収したプルトニウムとウランを組み合わせた燃料で、対応する一部の原子炉で使うことができます。

2025年、フランスはこの方針を次の世代まで続けることを決めました。ラ・アーグとメロックスにある既存のリサイクル施設は、さらに長く運転できるよう準備が進められており、2040年代から2050年代に向けて、新しい施設の計画も進められています。今行われている意思決定が、何十年も先のフランスの原子力システムを形づくる可能性があります。

Oranoの担当者は、再処理によって最終的に処分が必要となる物質の放射性毒性をおよそ10分の1にでき、さらに新たに必要となる天然ウランを最大で4分の1ほど節約できると説明していました。また、将来のリサイクル施設は、回収した核物質をより有効に使える次世代型原子炉にもつながっていくと話していました。

使用済み燃料への対応は国によって異なります。そのまま保管し、最終的に地下深くの地層処分施設へ直接処分する方針を取る国もあります。フランスは、再利用できる物質を回収するための産業システムを構築してきました。再処理をしても、長期的に安全管理が必要な放射性廃棄物は残ります。どこまで回収し、何を再利用し、そのためにどれだけの施設を整備し、その政策をどのくらい長く維持していくのかが重要になります。

日本から参加している私にとって、この話は自然に六ヶ所村へとつながりました。

日本も長年、使用済み燃料を再処理して再利用する政策を進めています。その中心にあるのが、青森県の六ヶ所再処理工場です。建設を進めているのは日本原燃(JNFL)で、日本の原子力燃料サイクルを支える主要な施設を担っています。六ヶ所再処理工場では、日本の原子炉から出た使用済み燃料を処理し、再利用できるウランとプルトニウムを取り出すことを目指しています。

建設が始まったのは1993年です。それから30年以上が経ちましたが、まだ商業運転には入っていません。JNFLは現在も2026年度末までの完成を掲げており、別に建設中のMOX燃料工場については2027年度の完成を目標としています。2026年10月の時点では、このスケジュールにも不透明感が出ています。青森県知事は、さらに遅れる可能性が高いという認識を示しており、JNFLは現在の目標に向けて作業を続けています。

私が生まれたのは、六ヶ所の建設が始まってから何年も後です。そして今も、日本はこの施設の稼働を目指して取り組んでいます。それだけでも、この政策がどれほど長い時間軸で進むものなのかがわかります。

フランスと日本は、似た政策を取りながら、現在はかなり違う段階にあります。フランスはすでに次の世代のリサイクル施設を計画しています。日本は、何十年も前に決めた仕組みを完成させようとしている途中です。

六ヶ所は、建設の遅れだけで語れるプロジェクトでもありません。再処理工場には、エンジニアリング、原子力規制、地域との関係、国のエネルギー政策、そしてプルトニウム管理がすべて関わります。政府、規制、コスト、社会の期待は長い年月の中で変わっていきます。そのすべてに対応しながら、プロジェクトを前に進め続ける必要があります。

日本は現在も運転開始に向けた準備を進めています。2026年1月、JNFLは、運転開始後に再処理量を段階的に増やし、2032年度ごろには年間最大800トンのウラン処理能力に近づけていく暫定的な計画を公表しました。

この計画を見ると、それぞれの仕組みがどれほど密接につながっているかもわかります。回収したプルトニウムはMOX燃料に加工する必要があり、その燃料を使える原子炉も必要です。さらに、残る放射性廃棄物については、長期にわたって安全に管理し続けなければなりません。六ヶ所の商業運転開始は大きな節目になりますが、その後には、また長い運用の段階が続いていきます。

燃料サイクルの入口でも、同じように長期的な視点が必要です。ウラン鉱山や濃縮施設は、開発に何年もかかります。Oranoの幹部は、フランスで濃縮能力を拡大できた背景には、顧客が長期的な利用を約束したことがあると説明していました。将来の需要にある程度の見通しが持てるからこそ、何年も先に効果が現れるような大規模投資が可能になります。

これは日本にとっても重要です。日本には大規模な国産ウラン資源がないため、燃料供給の重要な部分を海外の施設や取引関係に頼っています。原子力燃料は比較的コンパクトで、長期間備蓄できるという点でエネルギー安全保障上の利点があります。それでも、供給先や濃縮、長期契約についての判断は、実際に燃料が必要になる何年も前から進めなければなりません。

ここまで話を聞くと、私は個々の原子炉だけでなく、その周りにある仕組み全体を考えるようになりました。原子炉は60年以上運転することがあります。そして、その燃料を準備し、使用済み燃料をどう扱い、再利用をどう進めるかという判断は、それ以上に長い時間にわたることがあります。

日本にとって、これはすでに現実の政策課題です。日本は再処理を選び、そのためのインフラ整備に何十年も取り組んできました。そして今も、その仕組みを実際に機能させるための作業が続いています。

フランスと日本を並べて見ると、こうした選択がどれほど長期にわたるものなのかが見えてきます。燃料政策は、何十年にもわたって支え、調整し、技術や規制、エネルギーシステムの変化に合わせて動かし続けていく必要があります。

これから原子力の分野に入っていく私にとって、そこはとても印象に残るところです。今決められている多くのことは、私たちの世代がこの産業を担うようになった時にも、まだ大きな影響を持ち続けているはずです。

Taiga Cogger

Got Nuclear
A Project of the Anthropocene Institute