ITERで見る核融合

2026年10月、国際青年原子力会議への参加でフランスを訪れた際、南フランスにあるITERを見学しました。その時には、核融合装置の中心部を構成する9つの巨大な鋼鉄製セクターのうち、すでに6つが組立ピットに据え付けられていました。私たちのグループは、そのエリアに入るために必要な防護装備を持っていなかったため、メインの組立棟には入ることができませんでした。バスから見えたのは、電源設備の建物、ITERの超伝導磁石を極低温まで冷却するクライオプラントの大きなタンク、その後ろにある組立棟、そして前方の原子炉建屋でした。

核融合は、将来の低炭素電源の一つとして期待されています。その中で、ITERが担う役割は明確です。将来の核融合発電所につながる条件のもとで、大規模なプラズマをつくり、制御できるかを検証することです。プラズマとは、非常に高温になった電気を帯びた気体の状態で、ITERでは強力な磁場を使って装置の中に閉じ込めます。

目標は「Q=10」と呼ばれています。ITERは、プラズマに外部から50メガワットの加熱を行い、500メガワットの核融合出力を生み出すことを目指して設計されています。さらに、核融合反応そのものがプラズマを維持するための熱の大部分を生み出す「燃焼プラズマ」と呼ばれる状態を目指します。この500メガワットという数字は、プラズマ内部で生み出される核融合出力を示しています。ITERそのものが家庭や企業に電気を送るわけではありません。実際の発電は、その先にある将来の核融合発電所が担うことになります。

ITERがなぜこれほど大きな装置である必要があるのか。その説明で私にとって一番わかりやすかったのが、薪で焼くピザ窯の例でした。小さなピザ一切れだけを焼くための、とても小さな窯を想像してみます。小さすぎると熱が逃げてしまいます。極端に大きくすると、今度は熱のコントロールが難しくなります。核融合プラズマにも、大きさ、失われる熱、そして熱をどれだけ効率よく閉じ込められるかという関係があります。ITERは、Q=10を目指すために必要だと考えられている規模で設計されています。

その後、装置を動かし始める手順が、いくつかの短いステップで説明されました。数グラムのガスを入れ、磁場を立ち上げ、加熱装置を動かして、プラズマをつくる。説明者はそこで少し間を置き、「簡単そうでしょう?」と付け加えました。

その難しさの一つが、核融合反応で生まれる中性子です。中性子は電気を帯びていないため、プラズマを閉じ込める磁場でもとどめることができません。大きなエネルギーを持ってプラズマの外へ飛び出し、周囲の材料にぶつかります。将来の核融合発電所では、そのエネルギーを熱として回収し、電気をつくるために利用します。そのため、プラズマに近い材料には、長年にわたる強い中性子照射に耐える性能も求められます。

商業用の核融合炉に必要な期間、その環境に耐えられる材料については、現在も研究が続いています。プレゼンテーションでは、スペインのグラナダで建設が進む研究施設についても紹介されました。候補となる材料に強い中性子を照射し、どのように変化するかを調べるための施設です。将来の核融合炉でプラズマを囲む材料をどうするかは、今も解決に向けた研究が続く工学課題の一つです。

燃料についての話にも、現実的な課題がありました。核融合で使われる水素の一種である重水素は、自然界の水にも含まれています。ある物理学者は、ノートパソコンのバッテリーに含まれるリチウムと、水から得られる重水素を例にして、そこに含まれる原子が理論上どれほど大きなエネルギーにつながり得るかを説明しました。すぐに補足されたのは、原子の数から計算できる可能性を、実際に使える産業規模の燃料供給へつなげるには、さらに技術と仕組みが必要だということです。将来、重水素とトリチウムを使う核融合発電所を実現するには、もう一つの燃料であるトリチウムを安定して生産し、管理する仕組みも必要になります。

私が訪れる数か月前の7月28日、ITERでは9つある巨大なセクターモジュールの6つ目が組立ピットへ据え付けられました。モジュールそのものの重量は約1,100トン。吊り上げ装置を含めると、クレーンが支える総重量は約1,400トンに達し、作業には約30時間かかりました。10月に私たちのバスが組立棟の前を通った時、その巨大な構造物はすでに中に据え付けられていました。

こうした数字を燃料の量と並べてみると、ITERの規模が見えてきます。1,000トンを超える部品、超伝導磁石、大規模な冷却設備を組み上げながら、実験で一度に使うガスはわずか数グラムです。

装置の主要な部分は、すでに組立ピットで形になり始めています。そして、それらの部品がつくられた本来の実験は、これからです。ITERの役割は、この規模で核融合を技術的に成立させられるかを確かめることです。その成果を実際の発電所へつなげる仕事は、その先にあります。

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Taiga Cogger

Got Nuclear
A Project of the Anthropocene Institute